2020.03.05臨時休校、そして卒業式

3月2日から臨時休校を開始し、4日目になります。新型コロナウイルス感染症の流行が広がるのか、収束に向かうのか、未だ見通すことができません。前代未聞の状況といえます。生徒の皆さんは、登校もできず、部活動もできず、自宅で指示された学習に取り組んでいることと思います。時間に余裕ができたと考えて、日ごろ時間が足りなくてできないことにチャレンジしてみてはどうでしょうか。

例えば、読みたいと思っていた本を読むとか音楽をゆっくり聴くとか、あるいは晩御飯づくりを手伝うとか。本を読むなら思い切って長編小説に挑戦してみてはどうでしょう。家庭科で習った献立の夕食などをつくったら、ご家族に大いに喜んでもらえると思います。

3月3日(火)には高校の卒業式を予定していました。臨時休校に入るという状況を踏まえ、日程を繰り上げ、2月29日(土)に卒業式を実施しました。式は放送を通じて行い、内容は、卒業生総代への卒業証書授与、校長式辞、卒業生の言葉、記念品贈呈など最低限のものにして実施しました。卒業生は各教室で放送を聞き、その後担任より卒業証書を授与されました。幸いだったことは、卒業生の大多数が参加してくれたこと、放送を通じての式だったので在校生も全員参加できたことです。改めて卒業生の皆さん、おめでとう! そして在校生の皆さん、何とか頑張っていきましょう!

最後に卒業式の式辞を掲載します。

(式辞)新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、予定を変更して本日、横浜創英高等学校第67回卒業証書授与式を実施します。前代未聞の出来事であり、残念に思う卒業生の皆さんが多くいることと思います。私たちも同じ思いですが、どんな形であれ、卒業式を行い、皆さんの晴れの門出をお祝いしたいと考え、本日、式次第を簡略にし、放送を使っての式を実施する決断を致しました。皆さんのご理解を頂ければ幸いです。

ただいま、卒業生総代に卒業証書を授与しました。368名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。心からお祝い申し上げます。皆さんは、本校の建学の精神、「考えて行動のできる人の育成」を心の拠り所として、勉学に、また学校行事や部活動に取り組み、努力と研鑽を重ね、本日、晴れて卒業の日を迎えられました。 このことは、皆さんのご努力の賜物であります。同時に皆さんを励まし支えて来られたご家族の皆さまのお陰でもあります。このことを胸に刻み、新たな門出に臨んでいただきたいと思います。 

 

さて、卒業生の皆さん、創英の学び舎で過ごしたこの3年間は、皆さんにとって、掛け替えのない青春の時であったのではないかと思います。学業と学校行事・部活動の両立を目指し、皆さんはしっかりと取り組んでくれたと思います。学業では、進路希望の実現に向け、日々の授業に加え、夏冬の講習や早朝の講座などにおいて、真摯に取り組む皆さんの姿に創英生らしいひたむきさを感じました。先生方も大変熱心に指導して下さいました。学校行事では、創英祭や体育祭などで大いに盛り上がり、海外研修は貴重な体験の機会となりました。部活動においても、いくつもの部が全国大会等に出場し、素晴らしい結果を残してくれています。これらの成果は、学校にとっても、本当にうれしいものであります。こうした創英での学びや活動を通して得られた知識や体験は、皆さんの糧となり、今後の人生を支えていくものになっていくだろうと確信します。創英で学び、身に着けたことに、ぜひ誇りと自信を持っていただきたいと思います。 

 

さて、これからの変化の多い社会、先行きの読みにくい世界の中で、どう生きていけばよいか。皆さんにはその覚悟があるでしょうか。今回、皆さんは新型コロナウイルスの流行という未知の課題に直面しています。ぜひ、目をしっかり見開いて、社会の動きを注意深く観察してみてください。例えばネット上には、不正確で根拠のない情報があちこちに見かけられます。そういう情報に踊らされていないでしょうか。欧米では、アジア人に対する偏見や差別的な言動があると聞きます。差別されることはいやなことですが、差別することも、大変いやなことではないでしょうか。政府はウイルス感染症の拡大を防ぐため、全国の学校に臨時休校を要請しましたが、さまざまなウイルス対策は適切なものといえるでしょうか。そうしたことをよく見て、考えて、自分なりの考えをもって行動してほしいと思います。あなた自身、多様な情報を正しく理解し、選択し、自分の行動に反映することができているでしょうか。このことをぜひ自分に問いかけてほしい、そう願います。

 

それまで体験したことのない、未知の事柄に直面した時、人は自分自身が蓄えてきた経験や知識、情報などを総動員して、その問題に対処するしかありません。自分の選択や判断に不安を感じることがあっても決断し、前に向かって進んでいくしかありません。その際、勇気と知恵、仲間との協力、人への思いやり、社会的な公正さ、そういったものが、皆さんの「人生という旅」の道連れです。その道連れをぜひ大事にしてほしいと思います。

 

今日の式辞では、当初、東京に住む小林宙君という高校生が書いた「タネの未来」という本のことを紹介しようと思っていました。少しだけ話をしますと小林君は植物を栽培するのが大好きな少年ですが、全国各地に伝わる伝統野菜のタネを守ることを志しています。古くから地方に伝わる伝統野菜のタネは、実はいまや消えて行きつつあります。そのことを憂えた小林君は、何とかそのタネを守り伝えていくため、タネを流通させる会社を自分でつくりました。つまり起業したわけです。それが中学3年生の時です。中学生が起業とはびっくりです。彼はいまも土日や長期休業中に全国をまわってはタネの仕入れに出かけて行っています。この本を読み、私はとても感動しました。小林君の情熱や行動力、将来を見通す力などに大変感心しました。彼の姿に未来への希望を感じました。皆さんと同世代の小林宙著「タネの未来」という本です。機会があったらぜひ手にとってください。 

 

終わりになりますが、4月から皆さんは、新しい世界に入っていきます。将来予測の難しい時代が皆さんを待っています。そうした世界や時代を生きていくため、深く考えより良く行動する力の基盤を、皆さんは創英での学びを通じて身に付けました。そのことを信じ、勇気をもって進んでいってほしいと思います。卒業後は皆さんにはぜひ本校の応援団になっていただければと思います。そして時には後輩を励まし、応援していただきたいと思います。本日、創英を巣立つ368名の卒業生一人ひとりが健康であり、実り多く、心豊かな人生を築かれることを心より祈念して、式辞と致します。