2020.03.21中学校卒業式を無事に挙行

本日9時より、中学校の卒業式を行いました。21日(土)の実施は予定通りでしたが、内容は大幅に簡素化して実施しました。在校生は参加せず、保護者の皆様のご出席も誠に残念でしたが、ご遠慮いただきました。

卒業証書授与では、全員の呼名を行い、クラス代表に証書を読み上げて手渡ししました。続いて、優等賞や全国大会出場等の表彰の呼名、校長式辞、生徒代表による「卒業のことば」があり、閉式となりました。時間は25分でした。

予行練習もなく、ぶっつけ本番の卒業式でしたが、生徒たちはたいへん見事に振舞ったと思います。とても感心しました。さすが創英生と言いたいところです。樋熊君と松尾さんの「卒業のことば」も、心がこもっていて、聞きながら胸が熱くなりました。皆、そう感じたと思います。

また、今日の卒業式では、インターネットを経由して卒業式の映像をライブ配信し、ご家庭でスマホなどで式の様子を見ていただけるようにしました。(オンラインミーティングツール「ZOOM」(4/30まで学校関係無料)を活用)

久しぶりに生徒たちの生き生きとした様子を見ることができて嬉しく思いましたし、卒業式を無事に終えることができてほっとする思いです。(参考までに式辞を掲載します。)

 

(式辞)新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、式の内容を変更して本日、横浜創英中学校第15回卒業証書授与式を実施します。本校では3月2日より臨時休校としておりますが、何とか卒業式を行い、皆さんの晴れの門出をお祝いしたいと考え、本日、式次第を簡素なものとして実施することと致しました。皆さまのご理解を頂ければ幸いです。また、保護者の皆様には卒業式へのご参加をご遠慮いただくこととなり、大変恐縮に存じますが、この卒業式の様子を、インターネットを経由してライブ発信を致します。初めて実施することですので、不都合もあろうかと思いますが、卒業式の様子を少しでもご覧いただければ幸いに存じます。

 

さて、ただ今、卒業証書を授与しました卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。本校の建学の精神、「考えて行動のできる人の育成」を心の拠り所として、勉強や学校行事、部活動などに熱心に取り組み、仲間や友達との交流を深め、本日、晴れて卒業の日を迎えられました。そして、9年間の義務教育の課程を修了されました。  皆さんは、小学校の6年間、そして創英中学での3年間、よく頑張ってきたと思います。これは、皆さんの毎日の努力の成果です。まずそのことを褒めたいと思います。よく頑張りました。

 

そして、もう一つ、皆さんの今日があるのは、小学校入学以来、変わらぬ愛情を持って皆さんを支えて来られたご家族の皆さまのお陰であるということです。そのことをしっかりと胸に刻み、新たな門出に臨んでいただきたいと思います。 そして、保護者の皆様、本日はおめでとうございます。中学卒業という節目の日を迎えたお子様の姿に感慨も一入(ひとしお)のことと思います。また、これまで本校の教育活動に寄せられました温かいご理解とご支援に対しまして、改めまして厚くお礼申し上げます。 

 

さて、皆さんは3年前に本校に入学されました。入学式でお会いした皆さんの姿や顔立ちには、まだ幼さが残っていたことを覚えています。入学して間もなくの「ラーニングキャンプ」や夏休みの「アドベンチャースクール」のことなどが懐かしく思い出されるのではないでしょうか。斑尾高原では、ジップラインやラフティング、テントづくりなどに挑戦し、ワクワクしたことと思います。中学2年の関西歴史研修旅行では、法隆寺や東大寺、金閣・銀閣など、世界歴史遺産の数々を訪れました。そして、中学3年のカナダ語学研修では、ナイアガラの滝を見学し、その後トロント郊外のオリリアという町を訪問しました。一人一家庭のホームステイ、現地の学校でのバディとの出会いなど、さぞドキドキしたことと思いますが、皆さんはファミリーとすぐに打ち解け、バディとのコミュニケーションも上手にとれるようになりました。現地での皆さんの行動や態度は大変立派だったと思います。この十日間の素晴らしい体験、異文化と英語の体験は皆さんの一生の心の財産となり、忘れることのない思い出となると確信します。

 

また、毎日の授業、創英祭などの行事、合唱コンクールや体育祭での集団行動など中学独自のプログラム、さらに部活動などを通して、皆さんは確実に力をつけてきました。行事などが終われば、ポートフォリオに振り返りを記録し、自分の考えを整理する習慣も身に付けました。先日のポートフォリオ発表会では、その成果の発表がありましたが、発表の内容や態度に大変感心しましたし、充実した内容の濃い発表だったと思います。こうした3年間の中で、皆さんの心も身体も立派に成長してきたと実感しています。そして、創英生としての「力」、物事を深く考え、的確に行動する力を蓄えてきたと思います。創英中学で学び、身に着けたことに、ぜひ誇りと自信を持っていただきたいと思います。

 

さて、これからの社会は変化が大きく、先行きの読みにくい世界になっていきます。そうした世界の中でどのように生きていけばよいでしょうか。AI(人工知能)という言葉を皆さん知っていると思います。AIの活躍といえば、例えばコンピュータを使って開発された将棋のソフトが、プロの将棋名人と対戦し、名人に勝ったことがニュースになったりしました。また、AIが進化していくと、そう遠くない将来、現在人間が行っている仕事を、AIが人間に代わって行うようになるとも言われています。人間の仕事の多くがAIに代替される社会がすぐそこに迫っているのです。

 

そこで、皆さん、AIに関連して、「東ロボくん」という名前のロボットのことを聞いたことがありますか。この「東ロボくん」は、「ロボットは東大に入れるか」というプロジェクトの中で開発されたもので、ロボット、つまりAIが東京大学の入試に挑戦し合格を目指す、ということから「東ロボ君」と呼ばれるようになりました。このプロジェクトのリーダー、新井紀子さんという方の「AIvs.教科書が読めない子どもたち」という本にこのことが書いてあります.大変面白い本です。

 

このプロジェクトは2011年にスタートし、「東ロボくん」は能力が次第に高くなり、2016年度のセンター模試では、MARCHレベルの大学の中で、合格可能性が80%の判定となった大学も出るようになりました。そして「東ロボくん」が目標とする東大ですが、東大の二次試験の模擬試験に挑戦した結果、数学や世界史では高い得点をとれたのですが、国語や英語では残念ながら点数が伸びませんでした。なぜ国語や英語はうまくいかないのか。英語対策では、「東ロボくん」に何と150億の英文を学習させ、記憶させたというのですが、例えば二人の人間が会話する問題などで、一方の人の発言が( )になっていて、そこに入るのにふさわしい文を選択させるというような問題などでは、なかなか正解を選べないのです。なぜでしょうか?リーダーの新井さんによると、「東ロボくん」は我々人間にとってはごく普通の「常識」というものを知らない、また問題文などを読んでもその文の意味を人間のように理解しているわけではない、のだそうです。

 

 いま、スマートフォンで、おいしいレストランと入力し検索してみると、すぐに答えを教えてくれます。ただし、AIはその意味を理解しているわけではない。AIは入力に応じて計算し、答えを出力しているにすぎない。あたかも理解しているふりをしているだけで、実は計算機として足し算と掛け算をしているだけなのだ、と新井さんは書いています。それでも「東ロボくん」は、試験問題の解答を、ロボットアームにボールペンをもって、解答用紙のマス目にきちんとした文字で書き込んでいくことができます。その姿を見ていると、やがて東大へ合格できる日もくるのではないかと思えたりもします。

 

 この新井さんの本を読んで、いくつかのことを考えました。AIというような言葉が流行すると、何だかわかったような気になってしまいますが、実はあまりよくわかっていないということ。また、そうした中途半端な知識や情報で物事を判断してしまうことには危険な面もあるので、正確な知識や情報を手に入れる心構えが必要であること。日本語であれ英語であれ、書かれた文章の意味を正確に理解することは人間の重要な能力であり、その力を育てるのは大事なことだということ。そして、将来、AIが人間に取って代わって仕事をするような時代がくるかもしれないが、AIにできること、できないことをはっきり見極め、私たちの生活がより良いものとなるよう、上手に付き合っていくことが必要だと強く感じました。それと、もう一つ感じたことは、新井さんのように、こうしたプロジェクトに思いきり夢中になって取り組むというのはすばらしい、うらやましいなと思いました。

 

リーダーの新井紀子さんは、2017年に各分野の一流の専門家が自分の活動についてプレゼンテーションを行う、TEDというアメリカの会合に出席し、「東ロボくん」の活躍の話を披露しました。インターネット上で誰でもその動画を見ることができます。20分くらいのプレゼンですが、もちろんすべて英語です。とても格好良いので、ぜひ皆さんも見てみるといいと思います。 

 

今回、私たちは新型コロナウイルスの流行という課題に直面しています。まさに全世界が同時に同じ課題に直面していて、事態は現在もなお進行中です。こうした状況の中で、社会や世界や人々がどのように動いていくのか、注意深く観察し、適切な行動を心掛けてほしいと思います。4月になれば、皆さんはそれぞれの学び舎で、新たな勉強を始めます。気持ちを新たにして高校生活にチャレンジしてほしいと思います。創英中学で身に着けた「考えて行動する」力を十分に発揮して、みなさんの高校生活を豊かなものにしてください。皆さんの健闘を祈ります。結びにあたり、保護者の皆さまに重ねて御礼を申し上げますとともに、卒業生一人ひとりの、これからの高校生活が実り多いものとなるよう、心より祈念して式辞と致します。