2016.03.23中学卒業式

3月23日、中学校の第11回卒業証書授与式を行った。校庭まわりの桜もほんの少し花を開き始めた。桜の開花とともに卒業していく生徒たちの高校生活がより豊かなものになることを期待したい。学校長式辞では、高校の卒業式と同様に、鷲田清一氏の「折々のことば」からの引用を織り交ぜた。その部分だけ抜き出して紹介する。 『さて、「力」という言葉を重ねて使って話を進めてきましたが、ここで皆さんに、この「力」という言葉について、少し考えてほしいと思います。参考になる文章を紹介します。ある新聞に、鷲田清一さんという哲学者が「折々のことば」という連載を毎日掲載されています。古今東西の著名人の文章の一部を引用して、短い解説をつけるというものです。その「折々のことば」の第332回に、こんな言葉が引用されていました。聞いてください。 「自分の力というものは、それを与える人がいてはじめて存在できるのだなと思っ た。」 これは慶応大学の金子郁容さんという先生の本から引用された言葉です。鷲田さんの解説によると、金子先生の友人がアメリカに行った時、アメリカの空港で自分が泊まるホテルの名前などを書いたメモをなくしてしまいました。困ったその友人は金子さんに電話をかけてきて助けを求めました。金子さんはその時日本にいたわけですが、いろいろ調べて、その友人を助けることができました。そういう話なのですが、その時、金子さんが感じたことが、「自分の力というものは、それを与える人がいてはじめて存在できる」ということでした。 ここで金子さんが何を言いたいかわかりますか。自分が持っている力というものには、普段なかなか気がつかない。何かの機会がないと気がつかない。では、いつ、どうやって気がつくのか?自分が何かして人の役に立ったと思う時、他の人の力になれたと感じる時、それまで気づいていなかったけれども、そういう力が自分の中にあったと気づく。自分のほうが力をもらったとさえ感じる。つまり、他者との関係の中で自分の力を発見する、人とのつながりの中で自分の力が育ってくる、ということだと思います。「自分の力というものは、それを与える人がいてはじめて存在できる」。 しばらく前に読んで、印象に残る言葉でしたので、皆さんに贈る言葉として紹介してみました。皆さんの中には、まだまだ自分で気づいていない、未知の力が隠れていると思います。高校生になり、新たな生活が始まる中で、心身の成長とともに皆さんのいまはまだ見えない力も育っていくと思います。』 さて、卒業式が終わり、明日は今年度の修了式だ。短い春休みをはさんで、また新年度が始まる。気持ち新たに新年度を迎えたい。