9月12日。高校3年生のための文化講演会ということで、小説家のいぬじゅんさんにご来校いただき「生きることと死ぬということ」というテーマでご講演いただきました。いぬじゅんさんが書かれた青春小説は、映像化もされています。また、小説家のお仕事と並行して現在も主任ケアマネージャーとして介護の現場に携わられており、先生のご経験に基づいた心に響くお話をいただきました。
いぬじゅんさんは、大学時代の傾聴ボランティアの経験を通して、介護の世界の面白さを感じられ、介護分野への進路を決められました。介護現場で、人の生や死に多く携わられておられるからこそ、「人との出会いによって人生は広がり、別れによって深まっていく」という言葉にとても重みがありました。いぬじゅんさんが小説を書くようになったことも人との出会いがきっかけでした。また、ご家族を相次いで亡くされたご経験から、今、そばにいる人に感謝の気持ちを伝えることの大切さもお話しいただきました。
一方で生きることについて、人生の時間を例に出しながらお話しいただきました。人生が24時間だと考えると、17歳はまだ夜明け前。今がすべてだと思わずに、これからが人生の夜明けだと思って、楽しんでくださいというメッセージをいただきました。最後に、ご自身のキャリアを振り返られて、「介護の仕事も、小説家になれたのも偶然だったように感じるが、その種は人生の中にいっぱいあった。それらすべてのことが今の自分を作っている。何がきっかけで変わるかわからない、大人になってから夢が生まれることもある。自分の選んだ道が正しかったと思えるように、様々なことにチャレンジしてほしい。」という日々一生懸命取り組むことで次のキャリアが偶発的に広がっていくというお話をいただき、ご講演は幕を閉じました。
生徒の感想には、「明確な夢がなくても、自分に出来ることを最大限やり続けていれば、やりたい事や夢に繋がるのだと感じました。これから、まず行動することを大切にしていきたいです。」や「小説家とケアマネージャー、どちらも両立させて働いていることに驚きました。私の知る社会人のイメージは、一つの職をずっとやるものだと思っていたからです。学生時代に何の夢も無かったけど、大人になってからでも見つけられることを学んで、もっと怖がらずに色んなことに挑戦しようと思えるようになりました。」など、キャリアや夢について真剣に考える生徒の姿が見られました。